吉田先生の著書『加古川舟運の研究』によると、船頭さんが高瀬舟を出すのは、午前2時〜4時頃。もちろん真っ暗闇なので、河口の高砂までに31箇所もの難所(浅瀬や水路の中に岩が隠れている場所)を通るのは、死ぬ思いだったとか。急流に乗って岩にぶつかれば、舟はこっぱみじん。積荷の米俵が全部ずぶぬれになってしまうこともしばしばだった。
さすがに、おやじ(船頭)は、慣れたもので、そのカンと腕はたいしたものだった。どんな暗闇でも、サオで水面をたたきながら手さぐりの航行をするわけだが、しるしはちゃんと確認していた。サオ一本で舟をあやつるおやじの腕は、神ワザというよりほかなかったそうだ。それでも、夜目をつむると、加古川の難所が次々浮かび、一つ一つ数えるのがクセになってしまったというから、いかに命懸けの仕事であったか想像できる。 |
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